突然思い立って始めたインド回想記ですが、書き始めたら、忘れていたはずの人の名前やエピソードが次々と思い出されてきました。最初に書いたことと矛盾したりしてきそうですが、全体の構成など考えず思いつくまま気の向くままに、書き進めていきたいと思います。

まずマイソールってどこ?という人のためにご説明させて頂くと、マイソールはインドの下の方、南インドの中央あたりにあるバンガロールという大都市から車で数時間の、20年前当時は伝統文化が色濃く残り風情のある城下町でした。気候はインドの中でも過ごしやすい方らしく(と言ってもすごく暑かった)、豊かな住宅が並ぶ街で、都会と違い地元の人で洋服を着ている人は見かけず、皆インドのサリーやもっとカジュアルなクルタなどの民族服を着ていました。

食事はどこの家庭でも、路上や田舎の売店でも、その場で生地を伸ばして焼くチャパティというパンや揚げたてのスナック、スパイスや砂糖の塊をくだくところから丁寧に作るチャイ(ミルクティ)などで、熟した果物やハーブが露店で手に入り、簡単に食べれるインスタント食品や海外の食べ物は手に入れづらく、スローライフが営まれていました。

20年の間にだいぶ変わってしまっているかもしれません。今のインドはIT大国となって、人口は世界第1位、GDPも世界第5位、バンガロールはインドのシリコンバレーと呼ばれるITと経済の大都市になったそうです。

さて前回お話ししたように、マイソール滞在中には欧米や日本からきた様々な国籍の人たちと過ごしていました。いま思えば、南アフリカ人の映画監督や雑誌編集者、ロンドンで証券会社に勤める流暢なイギリス英語を話す日本人マダム、会社を辞めて1年ぐらい世界を旅しているドイツ人、日本からは有名広告代理店でコピーライターとして活躍していたでき女とか、MacBookを抱えたノマドワーカーのアメリカ人男性、新聞記者としてチベットに渡りそこでチベット仏教を学ぶ生活の後に東京の高校で英語の教師をしているというアメリカ人女性、といった感じで外国映画に出てくるようなエリートや意識高い系の人々と過ごしていました。

でもそれも今思い返せばということで、当時はそんなこと意識することもなく、みんな平等にすっぴんで早朝からヨガで滝の汗をかき、平等に真っ黒に日焼けして、時々体調を崩して半べそになり、平等に慣れないインドの田舎の不便な生活を、助け合ってサバイバルしていました。

早朝、大体決められた時間にグルジ(師)のいるシャラ(ヨガスタジオ)へ通っていました。大体みんなタンクトップと短いレギンスのような格好で、人前で肩を出すのははしたないという土地柄だったので、肩には薄いショールを巻いていました。丸めたヨガマットを小脇に抱え、入り口でサンダルを脱ぎ、待合室のようなところで呼ばれるのを待ちます。中のホールでは一面にカラフルなコットンラグが敷き詰められ、その上に大勢の人達が足の踏み場もないほどマットを敷き並べ、それぞれのペースで練習しています。一人一人が違うタイミングで練習を終え、一人ずつ部屋から出ていきます。次の一人が呼ばれてホールに入り、空いたスペースにマットを敷いて練習を始めます。そこに時々先生が来て手を貸して下さったりして練習を進めるのです。これが、伝統的なアシュタンガヨガの、マイソールスタイルと言われるプラクティスの形です。ヨガとひと口に言っても本当に様々な流派があり、多様な方法があります。

頭の良くて弁もたつ、でき女のコピーライターJちゃんと初めて会ったのは、この待合室でした。待っている間に、自己紹介やらどのルートから来ていつまでいるのかなんて話をしました。Jちゃんは来る途中の街でお腹を壊して入院したけれど、治療が信用できなくて病院を逃げ出して来ていました。まだお腹の調子がよくないというので、私は「うちに玄米やお味噌や梅干しもあるからきて」と言ってうちに招きました。この数年後、Jちゃんが「なつこ工務店」の名付け親になってくれたのです。私の人生の中でも最大のラッキーな出来事のひとつでした。

毎日よく乗ったオートリキシャ(小さなオート三輪タクシー)では、毎回乗る度に値段交渉したり、市場で買い物したり、料理を注文したり、仕立て屋で布から服をオーダーしたり、サロンで髪を切ったり、ちょっとした買い物など、日々地元のインド人と交渉しないと生活できませんでした。日本にいるとほとんど人と話をしない日もあるのが嘘みたいに、日常生活だけで結構手間がかかるものでした。

ラテン系のインド人との交渉はすんなりまとまらないことも多く、言った通りにやってくれてないとか、ぼったくられてるんじゃないかなんてことも多かったです。交通機関は時間通りに動かないし、お店の開店時間も書いてある通りじゃないし、配達を頼んで今日届けると言われたものも、明日になるか明後日になるかわかりません。突然停電になったり断水になったり、買った物や借りたものが壊れていたり、物が消えていたりすることも多いです。

そんな時に「え?だってこれ今日までに仕上がるって言ってたよね。」と指摘しても、インド人はいたずらっぽい丸い目をクリクリさせ、首をくねくねさせて黙っていたり、お天気のせいとか交通のせいとか、なんだかんだ言い訳して全然悪びれず、胸を張って堂々としているんです。今思い出しても可笑しくなってきました。笑

つづく

〜なつこの12月のスケジュール〜

●12/4(月)
14:00-15:30 hachiyoga @Ticoship

●12/6(水)
10:30-12:00 Natsuko Yoga Salon

●12/20(水)
10:30-12:00 Natsuko Yoga Salon

●12/27(水)
10:30-12:00 Natsuko Yoga Salon

◎12/28(木)
17:00- Natsuko Yoga Salon
キャンドルナイト
17:00-18:30 ヨガと瞑想
18:45-20:30 南インド料理で忘年会♪

詳細はこちら

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です